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オープンソースコミュ運営はSNS活用と共同管理体制で

  • 2007/11/08 18:19 JST
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オープンソースのコミュニティ運営は,まだまだメーリングリストが主流のようだ。たしかにお手軽でだれでも参加しやすいので良いのだが,せっかくコンピュータに強い層なのだから,SNSをお互いの意見交換に利用してみてはどうだろうか。

オープンソース活動は,

  1. 開発情報の発信とサポート情報の発信
  2. ドキュメント整備と公開
  3. 開発者間のコミュニケーション

この3つに集約される。したがって,ホームページはこの3つのサイトを用意すればよい。

1の情報発信なら,汎用CMSが最適だ。ブログでもよいのだが,メールマガジンやイベントカレンダ・リンク・記事投稿システムなど機能が充実してしかも機能拡張するしくみがあるので開発者たちが設置しても,自由に開発できるのでストレスが無い。汎用CMSには,JoomlaDrupal,XOOPS Cube,Ploneそしてこのブログで紹介しているGeeklogなど,たくさんのソフトウェアがある。携帯でログインして編集・書き込みまでできるGeeklogは一度機能をデモサイトで試して欲しい。公開サポートとして掲示板プラグインを利用すればよい。詳しくは同ブログのGeeklogが支持される理由を。

2のドキュメント整備と公開は,1の情報発信のサイト内で開設しても良いのだが,ドキュメントをみんなで管理していく機能に優れているWikiを使うのが一番だ。Wikiには,MediaWikiPukiWikiYukiWikiHikiがある。Hiki は Ruby で書かれたWiki クローンとのことで,ちょっとおもしろい展開になってきたので将来たのしみだが,ようやく書籍が出てドキュメントが十分になったMediaWikiはよく使われており,Geeklog Wikiでも活用している。

3 の開発者間のコミュニケーションは,これからはSNSに限る,と思う。メーリングリストでのコミュニケーションよりずっと内容の深い微妙なニュアンスまで伝えられるコミュニケーションができるし,情報整理をみんなで行える。画像や動画などもあつかって,多様なコンテンツをみんなで共有できる。SNSのオープンソースにはOpenPNEがあり,Geeklog.jp SNSでも活用している。

開発者の信頼性をメールよりSNSの方が高められるので,より安心して開発者同士交流できる。オープンソースは非常にたくさんの開発者によって開発されるので,ユーザとしてはそれら多くの開発者全員を信じて使うしかない。悪意のコードが埋め込まれていないことを前提に利用するわけだが,SNSで信頼度の高いコミュニティの中で生まれているオープンソースならより安心だ。

開発者の毎日の日記などからヒントを得たり,困ったことを日記に書いていたらだれかが解決法を提示してくれたりする。これでみんなの開発意欲が倍増して開発スピードが加速する。

オフ会などのイベントもたてやすく,リアルとオンライン両方でのコミュニケーションでコミュニティがさらに活性化する。

以上のように,オープンソースの運営はこの3サイトの運営が理想だが,これをひとりで,あるいは1社で引き受けるのは最初から考えない方がよい。

サイトの運営は信頼できるなかまを徐々に増やして権限を渡していき,共同運営をおこなってより大きな動きにすることをこころがけることだ。ユーザとしても,オープンソースがたった一社によってコントロールされているというのは不安なものだ。信頼できるコア開発者が共同で運営している方が安心だ。しかし,それはメーリングリストで見つけるのはやめた方がよい。

Geeklog日本ユーザ会であるGeeklog Japaneseの場合は,メーリングリストを一切使わず,SNSを使っている。オープンソース開発者たちが,活動を深めていくと,その状況に応じて管理権限を徐々にわたしていき,コミュニティに溶け込んで信頼のおけるなかまだというコンセンサスができあがったら,最後にはサーバの管理権限やサイトのRoot権限まで渡して共同運営をしていく。管理者グループだけが参加するコミュニティもあり,その中でも毎日多くの発言がある。

それぞれの立場で,自発的に記事をアップしたり,開発したり,英語のメーリングリストの内容を紹介したり,実にうまくからみあっている。

なぜこのようにあうんの呼吸でみんなが協力できるのか。それはSNSで毎日24時間,お互いの日記をみたり,プロフィールをみたり,様々なコミュニティでの発言をお互いにチェックしているからだ。メーリングリストだけでそこまでの呼吸は読めないだろう。

メーリングリストでは,通常のビジネスメールほど形式ばることは無く,率直な意見が飛び交うのだが,ともすれば不快感をあたえるメールになる。メールを受け取る側のプロフィールを含め,相手の普段の顔が見えないので,関係が険悪化することもあるだろう。

SNSでは,多くの場合本名や顔,居住している都道府県,さらにどんなホームページを運営して,なにを仕事にしているかなど,かなりの確率で個人情報をお互いに公開している。また,毎日の日記でそのひととなりが理解できるのも安心だ。

テキストだけのメールに対して,総合的な背景をもった情報になることで,深みのあるコミュニケーションが生まれる。

メーリングリストでRoot権限まで渡せる信頼のおけるネットワークを構築するのは無理だといってよいが,SNSならこのように可能性は十分ある。信頼できる開発者を見つけるのに,SNSは最適だ。徐々にコア開発者を増やして開発やプロジェクトの共同運営を計っていくことでひとりひとりの負担が下がり,全体としてはより大きな盛り上がりとなるコミュニティができあがっていくというものだ。